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界面領域の元素組成分布がわかります

表面からmmオーダー以上の深い位置にある厚さサブミクロン以下の界面領域をFE-AES (Field Emission Auger Electron Spectroscopy)にて断面方向から測定する場合、空間分解能が数10 nmであるため、厚さ方向の元素分布を詳しく調べることは困難です。このような試料に対して精密斜め切削を行うと、界面領域は数mm幅の切削面として露出され〔図1〕、その結果FE-AES分析を用いて界面領域の元素組成分布の評価ができるようになります。下記では厚さ数mm以上の有機膜がコーティングされたCu箔表面の分析事例を紹介します。

図1 精密斜め切削法の模式図

有機膜/Cu箔 界面のFE-AES評価

Cu箔の表面酸化は有機膜との接着性を大きく左右します。ここでは有機膜がコーティングされたCu箔表面の酸化状態を精密斜め切削技術とFE-AES分析を組み合せた方法で調べました。図2のSEM像に対する元素マッピングより、Cu箔の表面には酸化膜が存在していることがわかります。また、図3に示すラインプロファイルからは深さ方向で酸化度合いが違うことを示唆しています(有機膜側ほど酸化度合いが高い)。このように、精密斜め切削技術による試料調製で表面から深い位置の界面を拡大露出させ、さらに高い空間分解能を有するFE-AES分析を実施することで、金属/有機膜における接着性要因の1つである酸化皮膜などの存在を精度良く評価できます。

図2 斜め切削後のSEM像と元素マッピング像
図3 斜め切削後のSEM像に対応するラインプロファイル

その他の応用

  • 多層膜におけるバリアー層の評価
  • 試料内部に存在する微小異物の評価

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