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超高感度NMR導入により、微量成分の解析が変わります

NMRは分子構造解析に不可欠な装置ですが、その他の分析装置(IRやMSなど)と比較して、原理的に低感度であるため、微量成分の分析ついては制約がありました。この度、超高感度プローブ(CryoProbe)を備えた600MHz NMR装置を用いることで、従来分析が困難であった微量成分,微量試料の解析が可能となりましたので紹介します。

アクリルポリマー中の微量官能性モノマーの分析

超高感度プローブは、検出コイルを13K(約-260℃)という極低温に冷却することで、ノイズが大幅に低減され、弊社の従来保有装置(400MHz NMR装置)の10倍以上の感度[S/N : 210/1 ⇒ 3000/1(1H ),150/1 ⇒ 1900/1 (13C)]での測定が可能となります。これにより、特に低感度であるために微量成分の検出が困難であった13C核の測定に威力を発揮します。
アクリル酸ブチルとアクリル酸-2-ヒドロキシエチルからなるアクリルポリマーの13C NMRスペクトルを図1に示します。従来の400MHz NMR装置で測定した場合(上段)では、16時間積算の結果、アクリル酸ブチルに由来するピークしか検出されませんでしたが、超高感度プローブで測定した場合(下段)には、4時間積算でアクリル酸-2-ヒドロキシエチルに由来するピークも検出されました。このように、高分子鎖中の微量官能性モノマーの詳細組成解析などに有効です。

図1 アクリルポリマーの13C NMRスペクトル

微量試料(ポリイミド)の分析

10μgのポリイミドの化学分解物の1H NMR測定結果を図2に示します。従来の400MHz NMR装置で測定した場合(上段)では、ポリイミドに由来するピークはほとんど検出されませんでしたが、超高感度プローブで測定した場合(下段)には、ポリイミドの構成モノマー成分であるDPEおよびBPDAに由来するピークが明確に検出され、さらにピーク積分強度比より含有量比の算出も可能となりました。このように、微量の不溶性高分子であっても、超高感度プローブと弊社の分解技術を併用することにより、詳細な組成解析が可能です。

図2 ポリイミドフィルム分解液の1H NMRスペクトル

必要試料量

1H核測定 : 10μg以上
13C核測定 : 100μg以上

超高感度プローブの応用

  • 13C-13C 相関測定(INADEQUATE法)による有機物の構造決定
  • GPC/NMRアクセサリを用いた高分子化合物の組成分布解析

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