本文へリンク

高分子材料の配向状態がわかります

高分子材料の配向状態は、材料の機械特性などに影響します。このため、高分子の配向状態を把握することは製品や材料の開発・改善を行う上で重要です。X線回折(XRD)は材料の内部構造を非破壊で測定・解析でき、高分子の配向状態を調べるのに適した方法です。ここでは、高分子材料として代表的なポリエチレンについて調べた事例について紹介します。

ポリエチレンの配向状態変化

図1にポリエチレンの2次元検出器によるX線回折像および円周方向のX線回折プロファイルを示します。回折像にはポリエチレンの分子鎖で構成された結晶成分の分子配列に相当するものが現われており、紙面上、上下が延伸方向(MDの子午線方向)を示しています。無延伸試料では等方的な回折リングが観測され、ポリエチレンの分子鎖配列はランダムであることがわかります。一方、延伸試料では回折像はアーク状になり、延伸倍率が増加するにつれて回折像は延伸方向と垂直方向(赤道線方向)に集中し、スポット状になります。このことから、ポリエチレンの分子鎖は延伸方向に配向し、延伸倍率が増大するにつれて配向の度合いが高くなることがわかります。
配向の度合いを百分率で表した値を配向度といい、円周方向のX線回折プロファイルの半値幅から配向度が算出されます。下図の場合、配向度は、2倍延伸では72%、3倍延伸では91%、10倍延伸では96%となりました。

図1 ポリエチレンのXRD測定結果 (上)X線回折像 (下)円周方向(外側)のX線回折プロファイル

その他の応用

  • 繊維の配向度算出
  • 射出成型品の配向度算出と強度異方性との相関評価

ユーザー登録がお済みの方

   

PDFをダウンロードするにはユーザー登録が必要です。

お問い合わせ・ご相談

受付時間:9:00~17:30(土・日・祝祭日・年末年始・夏季休暇・弊社休業日を除く)

高分子分析、形態観察、表面分析、組成分析など、評価・分析に関するご質問・ご依頼はお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ戻る