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温度変調DSCにより熱硬化反応を詳細に解析できます

温度変調DSCは、周期的な温度変調(ヒーティングとクーリング)を繰り返しながら昇温する測定法です。温度変調DSCにより得られる全熱流速曲線は、温度変調に対して同期成分と非同期成分に分離し、可逆曲線と不可逆曲線を算出します。これにより、従来のDSCでは困難な吸発熱ピークに重なるガラス転移点や融解ピークなどを感度よく検出することが可能になります。ここでは、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤を用いた硬化反応の測定事例を紹介します。

エポキシ樹脂とアミン系硬化剤の反応

エポキシ樹脂とアミン系硬化剤を混合した試料について、温度変調DSCを用いて測定し、得られた全熱流速曲線を可逆曲線と不可逆曲線に分離することにより、昇温に伴う熱挙動を解析しました〔図1〕。
0℃以下の領域において、可逆曲線よりエポキシ樹脂由来のガラス転移点(-27℃)と融点(-7℃)が、不可逆曲線より硬化剤由来の冷結晶化ピーク(-13℃)が検出されました。また、35℃付近においては、可逆曲線から硬化剤の融解が検出されると共に、不可逆曲線から発熱反応の開始が確認されました。なお、硬化反応熱量は約295J/gであることがわかりました。さらに、硬化に伴う分子運動性の低下から、可逆曲線の傾きが変化する温度は約104℃であることがわかり、反応終了温度の約133℃よりも低温で流動性が低下、固化することが確認されました。
以上のように、温度変調DSCでは、全熱流速曲線を可逆曲線と不可逆曲線に分離して解析が可能になり、通常のDSCでは解析不可能な硬化反応挙動などを高感度に調べることができます。

図1 エポキシ樹脂とアミン系硬化剤の温度変調DSC測定結果

その他の応用例

  • 反応硬化物,未硬化物のガラス転移点を高感度に分離
  • ブレンドポリマーの相溶性評価 など

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