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ピンポイントの熱物性評価ができます

走査型プローブ顕微鏡(SPM)から派生したサーマル顕微鏡法の中で、局所熱分析が可能な手法にナノTAがあります。ナノTAは、原子間力顕微鏡(AFM)像レベルの精度で微小部位を確認できることから、今まで困難であったサブミクロンオーダーの熱分析アプローチが可能です。ここでは、透明フィルムとしてよく用いられるPETフィルムの白濁原因を解明した事例を紹介します。

PETフィルム表面析出物の分析

白濁したPETフィルムの表面をAFM像で観察したところ、多数の多角状の粒子が確認され、これらの粒子によって可視光が散乱されることが白濁の原因と考えられました〔図1〕。この粒子の組成を赤外分光法やラマン分光法などの分光的手法で調べたところ、フィルム基材と同様にPETであることがわかりました。
さらに詳細に調べるため、1μm程度の粒子1つを狙って、ナノTA測定を実施しました。図2にナノTA測定後のAFM像を示します。粒子表面にカンチレバーによる侵入痕が認められ、狙った粒子を分析していることがわかります。図3に粒子とその周辺基材のナノTA測定結果を示します。基材に比べて粒子では軟化温度が低いという結果から、多角状粒子を構成するPET分子は基材よりも分子量が低いことが明らかとなりました。このことから、フィルムに含まれるオリゴマー成分が表面に析出、結晶化して、白濁原因となったと結論付けられました。
このように、サブミクロンオーダーの微小領域に対して、ナノTAによって熱挙動を調べることにより、分光的手法では得られない知見を得ることができます。

図1 PETフィルム表面のAFM像(12μmスキャン)
図2 ナノTA測定後の図1箇所の拡大像(1.5μmスキャン)
図3 ナノTA測定結果

その他の応用

  • フィッシュアイの分析
  • 架橋度、劣化度の評価

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