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ナノメートルオーダーの微細形状を染色処理で可視化します

高分子材料を使った機能性材料の開発では、材料の特性評価と併せて内部形態を確認することが重要です。例えば、複数の成分で構成されている高分子材料の内部形態を確認するには、各種成分が相溶して均一相を形成しているのか?それとも相分離構造を形成しているのか?などを調べることが必要となってきます。このような「高分子材料の内部形態観察」においては、これまでの経験を活かした『重金属染色法による断面TEM観察』が有効です。

SEBS のミクロ相分離構造観察

ブロック共重合体は組成比によりミクロ相分離構造の形態が異なることが知られています。例えば、2種のポリマーで構成されているジブロック共重合体の場合、2種の組成比によってラメラ構造(5:5)⇒ダブル・ジャイロイド構造(6:4)⇒シリンダー構造(7:3)⇒球状構造(8:2)へと変化することが知られています〔図1〕。

図1 ジブロック共重合体のミクロドメインの形態(上段)と組成(下段)

ここで、2種のSEBS(スチレン-エチレンブチレン-スチレン)の相分離構造についてTEM観察した事例を図2, 図3に紹介します。図2のSEBS①では染色されたドメインがランダムに繋がっている相分離構造が観察され、図3のSEBS②では球状のドメインが確認されました。両者を比較すると、SEBS①はダブル・ジャイロイド構造、SEBS②は球状構造とそれぞれ類似していることが判ります。TEM観察において重金属染色により特定のドメインを識別することにより、SEBS①, SEBS②のような構造の違いを区別することが可能となります。その結果、ドメインの形状と力学特性との相関が明らかとなります。また、3次元電子顕微鏡観察を行うと2次元観察よりさらに有益な知見が得られ、ドメインの立体構造を明確にとらえることができます。

図2 SEBS①のTEM像
図3 SEBS②のTEM像

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