本文へリンク

高分子材料中の微量成分を定量することができます

高分子材料には耐久性や機能性を保つために様々な添加剤が配合されています。添加剤や原料成分(モノマー・開始剤・過酸化物)などの定量分析において、LCでは主に汎用検出器のUV-Vis検出器が用いられますが、他の成分と分離ができない場合や存在量が微量の場合は、UV-Vis検出器では定量できないことがあります。そこで、今回は、LC/MS/MSを用いて微量の紫外線吸収剤を分析した事例とLC/MS/MSの検出感度についてご紹介します。

PET中の紫外線吸収剤の定量

PET抽出液のLCおよびLC/MS/MSクロマトグラムを図1に示します。PET中にはオリゴマーが含まれており、目的の定量成分(紫外線吸収剤,2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)と溶出時間が重なるため、 UV-Vis検出器では定量ができません。一方、LC/MS/MS分析ではターゲットとなる成分の分子量や生成イオンを選択して検出(SRM検出)することができるため、夾雑成分が重なるような材料でも目的成分を精度よく定量することができます。

図1 PET抽出液のLCおよびLC/MS/MSクロマトグラム

LC/MS/MSの感度と定量性

図2にUV-Vis検出器とSRM検出の感度比較として過酸化物(ジクミルパーオキサイド)のクロマトグラムを示します。過酸化物のような熱不安定成分はLCでの定量が有効ですが、UV-Vis検出器では感度が悪く検出できないことがあります。このような場合には、SRM検出を用いることでサブppb~数ppbオーダーの微量の濃度まで定量することが可能です〔図3〕。

図2 UV-Vis検出器とSRM検出の感度比較(10ppb)
図3 ジクミルパーオキサイドの検量線

その他の応用事例

  • 各種微量添加剤や不純物の定量
  • ポリマーの残存過酸化物の定量
  • 医薬品不純物の定量

高分子分析の中で、高分子材料の耐久性や機能性を保つために配合されている様々な添加剤のうち、微量の紫外線吸収剤をLC/MS/MSを用いて分析した事例とLC/MS/MSの検出感度と定量性についてご紹介しました。

ユーザー登録がお済みの方

   

PDFをダウンロードするにはユーザー登録が必要です。

お問い合わせ・ご相談

受付時間:9:00~17:30(土・日・祝祭日・年末年始・夏季休暇・弊社休業日を除く)

高分子分析、形態観察、表面分析、組成分析など、評価・分析に関するご質問・ご依頼はお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ戻る