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硬化後のUV樹脂から揮発性成分の同定が可能です

UV(紫外線)硬化型樹脂は、作業性の良さや低公害性の樹脂として、現在、塗料、接着剤、ハードコートなど様々な分野で使用されています。多くの分野で使用されていることから、UV硬化型樹脂に求められる特性は、防汚性、親水性や分散性など多種におよび、それらは、樹脂そのものの構造を変えたり、添加剤を添加することにより付与されています。このように、UV硬化型樹脂は、組成により特性が大きく異なるため、組成の情報を知ることが重要となります。ここでは、硬化後の樹脂から重合開始剤などの添加剤(揮発性成分)を同定した事例を紹介します。

UV硬化型樹脂硬化物の揮発性成分の同定

硬化物中の光重合開始剤などの添加剤の同定には、加熱発生ガス成分を液体窒素で冷却捕集(クライオトラップ)した後、トラップ成分のGC/MS分析が有効な手法です〔図1〕。

 図1 発生ガス分析の装置構成

発生ガスの成分分析

250℃×10minにおける発生ガスの成分を、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)を用いて評価しました。その結果、図2より、ラジカル重合型光開始剤であるベンゾインメチルエーテル(③)やベンゾイル安息香酸メチル(④)が検出されました。その他にトルエンやアクリルポリマーの構成モノマー成分と考えられる1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが検出されました。よって、この樹脂はアクリレート系UV硬化型樹脂であると考えられました。
このように、硬化物の場合でも発生ガス成分から、何系の樹脂であるかを考察することが可能です。

 図2 UV硬化型樹脂硬化物の250℃×10minの加熱発生ガスGC/MSトータルイオンクロマトグラム

発生ガス量を評価する

発生ガス成分は精密機器への影響が懸念されますので、その発生量を把握しておくことは非常に重要なことと考えられます。本分析では、発生ガス量の評価も可能であり、分析の結果、n-デカン換算の総発生ガス量は、樹脂1gあたり70μgであることが判明しました。

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