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MALDI-TOF MSによる含有元素分析

マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS:Matrix assisted laser desorption/ionization-time of flight Mass Spectrometry)は、試料分子をほとんど分解することなくイオン化して質量分析を行う方法です。試料をそのまま分析できることから、これまで分析困難であった、溶媒に不溶な試料においても、イオン化することさえできれば、それらの構造を把握することが可能です。

難性溶性顔料の含有元素分析事例

塗料や印刷用インキなどに使用される塩素化銅フタロシアニンについて、MALDI-TOF MSを用いて分析した事例を紹介します〔図1〕。その結果、試料中には銅フタロシアニンの他に、塩素のもつ特徴的な同位体パターンからモノクロロ銅フタロシアニンやジクロロ銅フタロシアニンも含有していることがわかります。このように、有機溶媒に不溶・難溶のため分析手法が限られている有機顔料においても、その構造を把握することが可能です。

図1  塩素化銅フタロシアニン(顔料)のMALDI-TOF MSスペクトル

イオン性化合物の含有元素分析事例

イオン性化合物の一種であるフッ素化ホウ酸アンモニウム塩について、MALDI-TOF MSを用いた事例を紹介します〔図2〕。カチオン成分であるテトラエチルアンモニウムイオン、アニオン成分であるテトラフルオロホウ酸イオン(特徴的な同位体パターンにより、ホウ素原子を1つ含むことがわかる)に相当するイオンが確認できます。このように、イオン性化合物の組成を把握することが可能です。

図2  フッ素化ホウ酸アンモニウム塩のMALDI-TOF MSスペクトル

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