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液状(含水)試料の三次元構造の観察定量解析が可能です

食品、化粧品、接着・粘着剤など、さまざまな用途で使用されているエマルションは、それぞれの特性を発現させるため、内部の海島構造に工夫がなされています。これらの微細な内部構造の観察を行うことは、製品開発を行う際に重要となりますが、試料が液状であることから、SEM観察など真空下での観察が困難でした。ここでは、液状(含水)試料の内部構造観察が可能な冷却FIB-SEMの分析事例を紹介します。

Oil in Water(O/W)型エマルションの内部形態観察

試料断面の観察

O/W型エマルション〔図1〕について断面観察した結果を示します。液体窒素による瞬間凍結後、破断面を作製した試料において冷却SEM観察を行ったところ、油分と水分の界面状態を立体的に確認することができました〔図2:A〕。また、断面を冷却FIB加工することにより、試料内部の海島構造を明瞭に確認することが可能です〔図2:B〕。さらに、試料温度をコントロールすることで水分を昇華させ、試料中の水分存在位置を決定することができます。本試料では、海島構造の海部が水分、島部が油分であることを確認できました〔図2:C〕。

図1 O/W型エマルション
図2 エマルション断面SEM像(A:破断面、B:冷却FIB加工断面、C:冷却FIB加工断面(水分昇華後))

三次元構造観察

O/W型エマルションについて、100nm間隔でFIB加工とSEM観察を繰り返し行い、得られた150枚の連続断面SEM像から三次元像を再構成しました〔図3〕。三次元観察を行うことで、一断面の観察では捉えることのできない真の試料形態(ドメインの立体形状,空間配置)を観察できます。

さらに、三次元画像解析を行うことにより、粒子の球相当径や重心間距離などを定量化することができます〔図4,図5〕。このように冷却機能を使用することで、液体試料であっても内部構造の三次元観察および定量解析が可能となります。

図3 エマルションの三次元再構成像(A,B:3D像、C:油分ドメイン識別後の3D像)
図4 エマルションの球相当径解析結果
図5 エマルションの重心間距離解析結果

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