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生体・食品試料(毛髪、米)の断面の分析組成分布がわかります

飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)は、固体表面にパルスイオンビーム(一次イオン)を照射することにより表面から放出される二次イオンを検出し、得られた質量スペクトルから表面の構成成分を調べる手法です。分析深さは表面から1nm程度であり、極めて表面に敏感な分析手法ですが、適切な手法で断面を作成して分析することにより、深さ(厚み)方向の有機組成分析も実現が可能です。

トリートメント処理毛髪の断面測定

トリートメントなどのヘアケア製品の成分浸透評価を行うことは製品開発の際に非常に重要です。ここでは、処理剤(トリートメント)に浸漬させた毛髪の断面をTOF-SIMSを用いて処理剤成分の分布を可視化した事例を紹介します。図1にTOF-SIMS分析の結果を示します。処理剤の主成分であるシリコーン成分は、主に毛髪表面(キューティクル)に認められ、加えて、毛髪中央部分(メデュラ)にも拡散していることが明らかとなりました。

図1 毛髪の断面の正二次イオン像(150μm角)

米の断面測定

米の断面をミクロトームを用いて調製し、測定を行った結果を図2に示します。部位ごとに成分分布を可視化することが可能であり、端部の方がタンパク質由来成分が密に存在することが明らかとなりました。

図2 米の断面の負二次イオン像(150μm角)

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