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変形しやすい材料の断面加工ができます

断熱材、封止材、光学材料、センサーなどの機能性材料を生み出すために、複数材料の重ね合わせや基材への粉体の分散等が行われています。そのため各種材料を断面観察することは、機能発現の要因理解に重要です。しかしながら、物理的な切断による断面調製は、空隙を含む材料や複合材料において塑性変形や傷を生じさせる可能性があります。そこで、上記の様な材料においては、Arイオンビームにより断面をつくるイオンポリッシング(IP:Ion Polishing)法を用いることは有効です。IP法は、塑性変形や研磨等による傷の影響を低減し、試料内部の構造を忠実に再現することが可能です。

IP法を用いた紙繊維の断面SEM観察

紙繊維は、水との接触や機械的な応力により変形が生じますが、IP法を利用することで、機械的な応力の影響を受けない紙繊維の観察が可能です。図1から、繊維の本来の折り重なった様子がIP法の方が明瞭に観察できることがわかりました。

図1-1 IPにより調製した紙の断面SEM像 
図1-2 物理的に切断した紙の断面SEM像

IP法を利用したSnめっきした端子の断面SEM観察

Cu合金の結晶粒やSnめっき中へのCuの拡散で生じたと推察されるカーケンダールボイドも観察できました〔図2-1〕。またCu合金表面に3つのコントラストの異なる領域が観察でき、元素分析の結果からSn単独の領域に加え、組成比の異なる2つのCu-Sn合金層が認められました。このようにサブミクロンオーダーの形態も観察だけではなく元素分析も可能です。なお、酸化皮膜の厚みが10nm以上であればIP法で観察可能であることが示唆されました。

左図2-1 IPにより調製したSnめっきした端子の断面SEM像 右図2-2 元素分析結果

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