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FT-IRによるマッピング・イメージング評価

FT-IRは物質の定性や反応解析等の幅広い用途で用いられており、化学構造解析への有効性が極めて高い装置です。バルク分析以外では、マッピング・イメージングIR法による成分の可視化や、動的計測による反応プロセスの解析、偏光IRによる分子配向・結晶性評価が可能です。ここでは、PPフィルムの配向性に関して偏光を用いた広域マッピングと、微小付着物をイメージングIRで評価した事例を紹介します。

CPPフィルム(無延伸ポリプロピレン)の偏光広域マッピングによる配向性評価

CPPフィルムを部分的に引き伸ばし、延伸した部分と未延伸部分の配向性を比較するため、偏光を掛けた状態でマッピング測定を実施しました。分析の結果、延伸方向に分子鎖が配列し、延伸方向と平行な電場に吸収を持つ840cm-1(C-C結合由来)の強度が相対的に増加していることを示すマッピング像が得られました。このように、マッピングと偏光測定を組み合わせることで、数センチオーダーの測定範囲の分子配向分布を可視化することができます。

図1 測定サンプルの外観写真
図2 840cm-1(∥) / 899cm-1(⊥)のIRマッピング像
図3 延伸部分・未延伸部分のIRスペクトル

ATRイメージング法によるPPフィルム表面の微小付着物の成分分析

図4 に示す5μmサイズの付着物についてATRイメージング法で分析を行いました。付着物部分からは特異的にエステル結合の由来の吸収(1720cm-1)が確認され〔図5〕、差スペクトル処理を実施した結果付着物はアクリル系の樹脂と推定されました〔図6〕。通常の顕微FT-IRでサンプリングが困難だった数ミクロンサイズの試料についてもATRイメージング法を用いることで成分分析が可能になります。なお、イメージング測定では35μm角~約500μm角のエリアの測定が可能です。

図4 付着物のOM像
図5 1720cm-1のIRイメージ(35μm角) 図6 抽出ピークおよび差スペクトル

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