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健康を支える医薬品の劣化生成物の構造がわかります

SDGsの目標の1つである「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには医療の進歩は欠かせません。とくに、医薬品においては不純物や劣化生成物などの変性成分の構造を把握することが重要な課題の1つとなります。しかしながら、変性成分は存在量の少ない場合が多く、単離して詳細を明らかにすることが困難です。このような場合、液体クロマトグラフィー/電場型フーリエ変換質量分析計(LC/FT-MS)を用いると、LCで分離した含有成分の精密質量測定を行うため、不純物や劣化生成物などの変性成分の構造推定が可能です。ここでは、医薬品(インドメタシン)の光劣化生成物の構造をLC/FT-MSを用いて解析した事例を紹介します。

医薬品の光劣化生成物の同定

インドメタシンの原体および太陽光下で保管した試料のLC/FT-MSクロマトグラムを図1に示します。原体は保持時間(r.t.)8.14minに単一のピークしか確認されませんが、保管品ではr.t. 8.38minに新たなピークが検出されました。各ピークのFT-MSスペクトルを図2に示します。r.t. 8.14minの成分はm/z 358.0834であり、この精密質量から組成演算を行いまし。その結果、元素組成はC19H17O4NClと考えられ、原体のインドメタシンであることが確認されました。次に、r.t. 8.38minの組成演算を行ったところ元素組成はC19H17O5NClと考えられ、インドメタシンよりも酸素原子が一つ多いことが明らかとなりました。このことから、この成分はインドメタシンの酸化劣化物であると推定されました。このように、LC/FT-MSは変性成分の構造推定が可能であり、劣化機構の解明や不純物による故障要因の解明などに貢献します。

図1 原体と保管品のLC/FT-MSクロマトグラムの比較
図2 各ピークのLC/FT-MSスペクトルと解析結果

その他の応用

  • 良品と不良品の差異解析
  • 色素の構造解析
  • 添加剤の同定 

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