粘着剤の性能差を捉えるナノインデンテーション技術
粘着剤開発における課題とナノインデンターの必要性
粘着剤はテープや医療用途、電子機器など幅広い製品に使用されており、用途や使用環境に応じた精密な設計が求められます。しかし、マクロな物性試験では良品と不良品の差が明確に現れないケースも多く、保持力不足や糊残りといった課題の原因特定が困難です。製品状態のまま局所的な硬さや弾性率を評価できるナノインデンターは、こうした開発課題を解決する有効な手段です。

私たちの身近に様々な用途で用いられる粘着剤は、製品や使用環境に応じて様々な設計が必要になります。
| 開発課題 | 物性的因子 | 影響 |
|---|---|---|
| 物性コントロール | 硬さ・弾性率の制御 | 最終製品スペック |
| 糊残り、白抜け | 架橋度制御 | 外観不良、再利用不可 |
| 保持力・耐久性 | 環境因子による劣化、分解 | 寿命・性能 |
粘着剤に適したナノインデンテーション技術と評価事例
従来のナノインデンテーションは硬質材料を主対象としており、吸着性を有する粘着剤への適用は困難でした。当社ではJKR理論の適用と圧子形状の工夫により、粘着剤の弾性率を定量的に評価する技術を確立しました。製品状態のまま表面近傍の弾性率や吸着性、糸曳性の違いを捉えることで、良品と不良品の差を明確に把握できます。
従来のナノインデンテーション

従来の理論では接触剛性を使用し吸着性のある材料は見かけ上弾性率が高く算出される。
粘着剤に適したナノインデンテーション

良品/不良品のナノインデンテーション測定結果(各n3データ)では、弾性率、吸着性、糸曳性に差が見られました。
材料改良への展開とナノインデンターの適用範囲
ナノインデンターによる分析結果をもとに、架橋剤量や配合比などを最適化することで、保持力などの要求特性を満たす材料改良が可能です。本手法は厚み20μm以上の粘着剤層を含むフィルムに適用でき、前処理と組み合わせることで層間粘着剤の評価にも対応します。
さらに温度・湿度制御下での測定により、実使用環境を模擬した信頼性評価にも対応します。
粘着剤測定の適応範囲
- 厚み20μm以上※の粘着剤を含むフィルム
前処理との組み合わせで層間にある粘着剤の評価も可
※構成や測定装置の選定次第では20μm以下も可 - 環境制御ステージとの組み合わせで実環境を模した評価も可能
| 温度制御 | 湿度制御 | サンプルサイズ | 厚み |
|---|---|---|---|
| 冷却 -120℃~RT 加熱 RT~600℃ | ~75%RHまで (温度75℃まで) | 1cm角以上 | 20μm~ |