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結晶多形の定性・定量ができます

X線回折(XRD)は、材料の結晶構造に由来する回折パターンをデータベースと比較することによって同定分析を行います。そのため、同じ化学式で表される物質でも結晶構造の異なる相を別個に検出することができます。例えばダイヤモンドと黒鉛の様な同素体や、α-グルコースとβ-グルコースのような異性体であっても容易に識別し、定量することが可能です。
従来の定量手法では、標準物質を試料に混合し検量線を作成することによって定量を行いましたが、RIR法を用いるとデータベースの登録強度値との比較のみで定量を行うことが可能です。 また、RIR法は同じく検量線が不要な定量法であるリートベルト法と比較すると、簡易的に素早く定量することが可能です。ここではTiO2粉末についてRIR法で調べた事例について紹介します。

TiO2粉末に含まれる結晶多形の定量

図1にTiO2粉末のX線回折プロファイルを示します。データベース検索の結果、試料はアナターゼ型、ルチル型、2種類の結晶多形の混合物であることがわかりました。次にRIR法により各結晶形の含有率を分析した結果、アナターゼ型は84%、ルチル型は16%と求められました。ルチル型は熱的化学的に安定なため顔料として広く用いられています。一方、アナターゼ型は光触媒活性があるため環境浄化材料として高い機能を有します。このように結晶系が異なると材料の特性も大きく異なるため、結晶系を分析することは材料開発上、極めて重要です。

図1 TiO2のX線回折プロファイルと定性・定量解析結果

その他の応用

  • 鉄さび中の鉄化合物の定性・定量
  • 医薬品原薬の多形分析

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