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【形態観察】 放射光SAXSによる試料内部構造の非破壊分析 ~ 放射光SAXS (207) ~
X線を試料に照射すると試料の内部構造によりX線が散乱されます。散乱X線のうち、散乱角が小さい(10°未満)領域に現れるシグナルを測定することで試料内部構造を非破壊分析する手法がSAXS(小角X線散乱、図1)です。SAXSは図2に示す通り数nm以上の構造が分析可能であり、試料中の周期構造、配向、ドメインサイズや空孔サイズなどの評価に有効です。評価可能な構造のサイズはカメラ距離(試料-検出器間距離)により変わり、距離が長いほど大きな構造が評価できます。
 大型放射光施設(SPring-8等)はカメラ距離を長く取ることができるため、市販装置では評価困難な大きな構造の評価ができます。また、数秒~十数秒程度の短時間で測定が可能(in-situ測定が可能)という利点もあります。本資料では、比較的大きな海島構造を持つ光学フィルムについて放射光SAXSにより内部構造を分析した事例を紹介します。


光学フィルムの内部構造

光学フィルムは窓ガラスなどの断熱、液晶画面の保護・汚染防止など広い分野で利用されており、今後も市場拡大が期待されています。光学フィルムの性能は材料の物性やフィルムの内部構造(添加剤の分散状態等)に依存すると考えられます。
 今回は、ポリマーに添加剤を加えたフィルム2検体(試料①、②)を分析しました。試料中で添加剤は相溶せず海島構造を形成すること、島(ドメイン)の大きさやコントラストが試料により異なることがTEM観察で確認できました。しかし、TEM像ではこの差を数値化することが困難であったため、放射光SAXS(SPring-8 BL08B2)による測定・解析を行いました。
 得られた結果を図3に示します。試料によりSAXSプロファイルが異なっており、内部構造に差があることがわかります。各プロファイルに対し理論解析を行った結果、試料①のドメインは平均直径が約86nm、おおよそ球形であり、周辺樹脂との界面の厚みが約4nmであるのに対し、試料②のドメインは平均直径が約29nm、おおよそ球形であり、界面厚みが約13nmと見積もられました。試料②のドメインがTEMで明瞭に観察されなかったのは、ドメインが小さく界面が厚いためだと思われます。
 今回分析したフィルムはドメインの状態が異なっており、これがフィルム性能(透明度など)に影響していると考えられます。ドメインの状態とフィルム性能を紐づけることで最適な内部構造を類推できれば、フィルムの設計・製造の指針になりうると期待されます。 

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