湿度変化による材料の膨張・収縮を評価できます
フィルム、シートの要求特性の一つに使用環境下での寸法安定性があります。温度変化による材料の膨脹、収縮の評価についてはTMA(Thermo Mechanical Analysis)が一般的に利用されていますが、湿度変化による影響も大きな場合があります。ここでは湿度を20%から80%に変化させる環境下での市販のメモ用紙の寸法変化について、湿度制御TMAで測定した事例を紹介します。
市販のメモ用紙の湿度制御TMA測定
市販のメモ用紙(通常紙と防水紙)について、湿度制御TMAを用いて、温度を30℃一定、湿度を20%→50%→80%と変化させた場合の寸法変化を、引張法と圧縮法で測定しました〔図1〕。引張法は試料の罫線方向に、圧縮法は試料の厚み方向に測定したものです。
通常紙の材料としてはセルロース繊維が一般的ですが、セルロース繊維は親水性であり、湿度上昇に応じた吸湿膨張がみられます。一方の防水紙は無機フィラーを含有したポリプロピレン(PP)製のフィルムですが、PP自体が疎水性であるため、湿度変化により顕著な寸法変化は認められませんでした。また、通常紙の場合、厚み方向での吸湿膨張が顕著であることがわかりました。
その他の応用
- 光学フィルム、電池膜などの寸法変化
- ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの硬化度評価