リチウムイオン電池の劣化ガスが評価できます
リチウムイオン電池(LIB)は、起電力が大きく、小型軽量化が可能という利点から、広範な製品のエネルギー源として利用されています。電池は、充放電を繰り返すことで劣化していきますが、劣化に伴って発生したガスにより膨れが発生することがあります。この劣化ガスをGC, GC/MSで定性, 定量することで、劣化の原因を推測する一助となります。
ラミネート電池の劣化ガス分析
150サイクル後に膨れが発生したラミネート電池について、膨れ中のガスをGC, GC/MSで測定した結果を以下に示します。
膨れ中のガスは無機ガスが主成分であることが多く、大気中でのサンプリングでは混入しやすい空気由来成分(窒素, 酸素, 二酸化炭素)についても評価が重要になりますが、サンプリングを大気非暴露下(Ar雰囲気グローブバッグ内)で行うことで、空気由来成分を0.1vol%まで確認することができます。
膨れ中のガスを測定した結果、主成分は水素とCO2で、その他にCO、メタン、エチレン、エタン、電解液成分等が検出されました。主成分である水素は、部材中の水や電解液の酸化で生成した水が電気分解又はLi金属や電極の金属と反応したことで発生したと推測されます。また、CO2は電解液が酸素や水と反応したことにより発生したと推測されます。
その他の応用
- 気泡中のガス分析
- ガス中の不純物分析