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有機EL材料のバンド曲がりを評価できます

表示素子や照明用途として注目されている有機ELは電極と有機半導体材料を積層して作製します。その電極/有機層の界面には電気二重層が形成され、フェルミ準位が一致するようにバンド曲がりが生じます。よって、バルクのエネルギー図から設計した注入障壁と実際にデバイスを作製した時の注入障壁は異なっていることが予想されます。その場合、設計値以上の注入障壁となり、発光させるために想定以上の大きな電力を消費する可能性があります。そのためバンド曲がりを評価することは設計上、重要です。今回は、走査型プローブ顕微鏡の1つである走査型ケルビンフォース顕微鏡(KFM)を用いて、簡便にバンド曲がりを評価した事例を紹介します。

有機EL用電子輸送材料のKFMによるバンド曲がり評価

試料は電子輸送材料であるTPBi[2,2’,2’’-(1,3,5-フェニレン)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)]をガラス/ITO基板上に1,3,10,30,100nmの厚みで堆積させたものを準備しました。上記試料を真空下でKFM測定し、探針(Auコート:仕事関数5.1eV)の仕事関数との差異からTPBiとITO(膜厚0nm)のフェルミ準位を見積もりました。その結果、TPBiのフェルミ準位は厚みが30nm付近までは徐々に上昇し、バンド曲がりが生じていることがわかりました。30nm以上の膜厚では、一定の値に収束しました〔図1〕。また、上記結果とTPBiのHOMO,バンドギャップからエネルギー図を求めることも可能です〔図2〕。

図1 膜厚に対するITO基板上のTPBiのフェルミ準位の変化
図2 TPBi/ITO界面のエネルギー図(単位:eV)
(フェルミ準位が一致したと仮定して、図1とTPBiのHOMO,バンドギャップからエネルギー値を求めた)

VL:真空準位,EF:ITOのフェルミ準位,VBB:バンド曲がり,IP:イオン化ポテンシャル,Eg:バンドギャップ

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