新規FE-(S)TEMで微小領域の分析がハイスループットに行えます
概要
試料内部の微小領域の観察・元素分析が可能な電界放出型(走査)透過電子顕微鏡;FE-(S)TEMを新規に導入しました。ナノメートルオーダーの内部形態観察(各種形状、寸法評価),結晶性評価,元素分布,化学結合状態をハイスループットかつ精度よく調べることができます。以下に当社で導入した装置の概要を紹介いたします。
性能・仕様
現有装置の既存性能に加え、新たな機能(※)が付加されました。図1に装置外観、表1に性能・仕様を示しました。新規FE-(S)TEMでは、以下の7つの測定が可能です。
- ナノメートルオーダーの微細構造を高分解能で観察することができます。
- 電子線回折図形により、試料の結晶構造の評価、物質の同定を行うことができます。
- Cryoホルダーを用いることで、電子線照射によるダメージを低減させて分析することができます。
- STEM像(明視野,暗視野)の測定により、試料の組織,組成分布(Zコントラスト像の観察※)を調べることができます。
- 電子線トモグラフィー測定により、ナノメートルオーダーの三次元形態、三次元元素分布※を調べることができます。
- 大面積シリコンドリフト検出器(100 mm2×2台)を用いたEDX分析により、短時間にナノメートルオーダーの局所領域の元素分布を分析※することができます。
- 新たに搭載したEELS検出器により、軽元素の点分析※,元素分布※,化学結合状態※を調べることができます。
試料について
- 試料は粒状(数100 nm以下)、薄膜状(もしくは薄膜化可能な材料)であれば分析可能です。
応用事例
- 多層膜の層構成評価(膜厚、構成元素など)
- 粒子(触媒など)の形状評価(粒子のサイズ・形状、触媒の担持状態、構成元素など)
- 有機/無機材料の接着界面の解析
- 金属, セラミックス材料の粒界の解析 など