高分子相分離構造の温度依存性がわかります
高分子を2種類以上ブレンドあるいは共重合体化すると、多くの高分子は相溶化せず、相分離構造を形成します。高分子は金属などに比べ、比較的狭い温度領域で相分離構造が変化することが知られており、相分離構造の温度依存性を知ることは材料特性を評価するうえで重要です。今回は、SISトリブロック共重合体の温度依存性を走査型プローブ顕微鏡(SPM:位相モード)にて観察した事例を紹介します。位相モードは、材料の粘弾性や吸着力に起因した位相差が得られ、高分子の相分離構造を観察する一般的な手法です。
SISトリブロック共重合体の温度可変SPM観察
試料はSIS(スチレン-イソプレン-スチレン)トリブロック共重合体薄膜です。-30℃では顕著な位相差は見られず〔図1〕、0℃→30℃と昇温に伴い、明瞭な位相差が認められました 〔図2,図3〕。-30℃で、位相差が小さいのはスチレン相とイソプレン相で硬さ、吸着力に大きな差異がないことを示しています。昇温していくと、ゴム相であるイソプレン相(黄色のコントラスト)がスチレン相(茶色のコントラスト)に比べ柔かくなり、位相差が顕著になり、明瞭な相分離構造が観察されています。さらに温度を上げると(60℃→90℃)、ゴム相と推察される位相遅れの大きい領域が減少していき、相分離構造が変化していることがわかります〔図4,図5〕。100℃以上の温度では、観察が困難となりました。120℃まで昇温してから、室温に戻して観察したところ、海島構造が観察され、相分離構造に大きな変化が生じていることがわかりました〔図6〕。このようにSPMでは温度可変の半動的観察が可能です。





