フィッシュアイの局所熱分析ができます
フィルムの外観不良として、フィッシュアイと呼ばれる欠点があります。フィッシュアイはペレットの溶け残りや異物の混入などで発生します。対策のため、分析をする必要がありますが、欠点が微小であることから、ラマン分光やSEM-EDXなど分析手法は限られています。ここではナノTAによる局所熱分析を実施した事例を紹介します。
ポリエチレンフィルム欠点のナノTA分析
試料はポリエチレンフィルムに認められたフィッシュアイです〔図1〕。ミクロトームにて断面を作製し、光学顕微鏡下にて、フィッシュアイの内部に異物が認められました〔図2〕。ナノTA測定を実施したところ、フィッシュアイ部の軟化温度は143.3℃であり、ブランクであるポリエチレン(PE)の軟化温度(97.0℃)より、高温であることがわかりました〔図3〕。顕微FT-IR測定からは、ポリエチレン以外にポリプロピレン(PP)が検出されました〔図4〕。顕微FT-IRからでは正常部も含めて測定していることから、フィッシュアイがPP単独かPEとの混在物かは判断できません。しかし、フィッシュアイ部のみを局所分析できるナノTAでは、フィッシュアイ部のみの軟化温度を検出していることから、フィッシュアイはPP単独の異物であると推測できます(一般的にPPの軟化温度は110℃~140℃程度)。




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