水中での動的粘弾性挙動がわかります
動的粘弾性測定装置(DMA)は高分子材料のガラス転移や、弾性率の温度依存性を調べる装置です。DMAは、一般的に窒素もしくは大気雰囲気下で測定されますが、浴槽を設置することで水中での評価も可能になります。水中で使用する材料については、実際の使用環境に合わせた評価が可能です。今回は、PETフィルムの水中DMA測定を行い、大気中での挙動と比較した事例を紹介します。
PETフィルムの水中測定
市販のPETフィルムを浴槽内の引張治具に取り付け〔図1-1〕、密閉後に浴槽を水で満たし〔図1-2〕測定を行います。
図2に示すように、PETフィルムのE’は大気中で70℃付近から減少するのに対し、水中では60℃付近から減少していることがわかります。また、E’’やtanδのピークトップ(≒ガラス転移温度)は、水中では約15℃低くなっている点に差がみられました。この水中での挙動は、PETフィルムに浸透した水が可塑剤のような働きをすることで、ガラス転移温度を低下させたためと考えられます。