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材料の応力を可視化できます

工業材料の製造過程や使用環境下において発生する歪み・応力は、材料に対し変形や破損、劣化を引き起こす原因となります。そのため、材料中の応力の分布を可視化し、理解することは材料設計・製造プロセスにおいて重要です。
顕微ラマンスペクトルにおけるピーク位置は、物質に生じた応力によってシフトすることが知られています。この性質を利用して、ミクロンオーダーの分解能で微小部の応力を非破壊で可視化することができます。
今回は、押し込み試験後のシリコン(Si)ウェハーと曲げ試験を行った芳香族系ポリカーボネート材料の応力分布を評価した事例を紹介します。

押し込み試験後のSiウェハーの応力分布評価

Siの520cm-1のピークは引張応力により低波数側に、圧縮応力により高波数側にシフトすることが知られています。
ここでは、圧痕を付けたSiウェハーを用いて応力評価を行いました。
その結果、圧痕の周囲ではSiのピークが高波数側にシフトしており、圧縮応力が生じている様子が確認できました。
Siの520cm-1のピークはシフト量と応力値(MPa)の関係がわかっているため、シフト量からMPa単位に変換した応力のマッピング像を作成することも可能です。

図1 Siウェハーの応力分布

芳香族系ポリカーボネート板の応力分布の評価

芳香族系ポリカーボネート(以下PC)の芳香族C=C結合に由来する約1600cm-1のピーク位置は、応力によってシフトすることが知られています。
そこで、4点曲げ試験により模擬的に歪みを発生させたPC板の断面方向から顕微ラマンマッピングを行い、約1600cm-1のピークシフトから応力分布を評価しました。その結果、歪みなしの状態と比較して断面上側でピーク位置が低波数側にシフトし引張応力が、下側では高波数側にシフトし圧縮応力が生じていることがわかりました。
このように、高分子材料に対しても応力分布評価を行うことで、製品設計・開発の指針に役立てることができます。

図2 4点曲げPC板の応力分布

その他の応用

  • 引張試験中の応力評価
  • 加熱、冷却時の膨張収縮に伴う応力の測定 (温度設定範囲:-100~300℃ ※装置によって異なります)

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