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氷晶の影響を抑えた水系サンプルの構造観察が可能です

水系サンプル(エマルションやインク、食品など)を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行う際、液体窒素による瞬間凍結を行い、冷却状態を維持して観察を行います。しかしながら、凍結時に氷晶が生じることで形状が変わり、試料本来の構造を観察することが困難な場合があります。この氷晶の影響を抑える凍結手法として、210MPaの高圧下で試料を凍結させる高圧凍結法が有効です。210MPaの高圧下では水の融点が下がり粘性が上がるため、常圧下よりも氷晶が形成されにくくなります。今回はエマルションについて高圧凍結法を用いて観察した事例を紹介します。

エマルションの高圧凍結+冷却 FIB-SEM観察

エマルションの特性には乳化型(O/W型、W/O型など)や粒子サイズが関与し、それらの構造を捉えることは重要です。今回は2種類のエマルション(①UV硬化型接着剤、②リキッドファンデーション)について、高圧凍結法を用いて試料を凍結し、冷却FIB加工による断面調製を行い、冷却状態で断面SEM観察を行いました。


 ①UV硬化型接着剤では粒径200~800nmのエマルション粒子が均一に分散している様子が確認できました〔図1〕。また、試料温度をコントロールして水分を昇華させたり、EDX分析を組み合わせることで、水分や含有元素の分布を確認することができます。これにより、UV硬化型接着剤はO/W型のエマルションであることがわかりました。

図1 UV硬化型接着剤の断面SEM像


 ②リキッドファンデーションでは粒径200nm~5μmの水滴がオイル中に均一に分散しており、W/O型のエマルションであることがわかりました〔図2〕。また、オイル中に100nm~1.5μmおよび2~10μmサイズの無機粒子も確認できました。

図2 リキッドファンデーションの断面SEM像および元素マッピング像

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