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複合分析で吸水性の要因を明らかにできます

近年、気候変動やライフスタイルの変化から吸水速乾性に優れた繊維製品が注目されています。
今回は吸水性の異なる繊維試料 (A:吸水性が高い、B:吸水性が低い)について、複合的に分析を行うことで吸水性の要因を明らかにした事例を紹介します。

吸水性の異なる繊維試料の複合分析

光学顕微鏡を用いて試料A,Bの吸水面を観察したところ試料Aは試料Bよりも密に編みこまれているように見えます〔図1〕。

図1 試料A,Bの吸水面 光学顕微鏡像

そこで、三次元構造を評価するためにX線CTによる分析を行いました。

図2 試料A,BのX線CT像

得られたX線CT像〔図2〕から画像解析によって試料の厚み方向の繊維率を算出したところ試料Aは試料Bよりも繊維率が低いことから空間が多く、2層構造であることがわかりました〔図3〕。

図3 繊維率の厚さ方向分布

次に繊維の主組成を顕微ラマン測定によって評価した結果、両試料とも綿、ポリエステルでした。また、マッピング像からは試料Aの吸水面にポリエステル、反対面に綿が用いられているのに対して、試料Bでは綿・ポリエステルが混在していることがわかりました〔図4〕 。

図4 試料A,Bの断面 顕微ラマンマッピング

 以上のことから、吸水性に優れる試料Aは試料Bに比べて水分をため込む・移動させるための繊維間の空間が多いこと、疎水性であるポリエステルを吸水面側に配置した2層構造にすることによって水を拡散しやすくしていると考えられます。このように、複合的な分析を行うことで機能性に繋がる要因を明らかにすることができます。

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