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ナイロン製品(脂肪族ポリアミド)の詳細な組成を分析できます

高分子材料は用途に応じて要求性能が異なり、最適なポリマーや添加剤が選択されます。そのため、材料のポリマーの組成や添加剤の把握は、材料の特性や機能発現を理解する上で非常に重要です。今回は市販のナイロン製品について、主ポリマーと各種添加剤の組成を複数の分析装置を用いて調べた事例を紹介します。

主ポリマーと各種添加剤の組成分析

ナイロン(脂肪族ポリアミド)には脂肪族の炭素数によっていくつかの種類が存在し、材料の機能性向上のため複数種混合される場合があります。いずれのナイロンも汎用溶媒には難溶なため、詳細組成の把握には、構成単位に分解して分析する熱分解GC/MS法が有効です。

図1にナイロン製品の熱分解GC/MS測定結果を示します。図1より、ナイロン6由来のε-カプロラクタム【A1】 、ナイロン6,6由来のシクロペンタノン【B1】およびヘキサンメチレンジアミン【B2】が確認され、このナイロン製品はナイロン6とナイロン6,6の2種のナイロンが混合されていることが示唆されました。そこで、2種のナイロンの存在状態を確認するためにDSC測定を行った結果〔図2〕、218℃にナイロン6、259℃にナイロン6,6由来の2つの融解ピークが確認されました。このことから、ナイロン製品はこれら2種のナイロンが混合された材料であることがわかりました。

図1 熱分解GC/MS測定結果
図2 DSC測定結果(再昇温)

次に、ナイロン製品に含有されている添加剤について分析しました。添加剤は製品の劣化防止や高機能化のために添加されますが、多くの場合複数の成分が微量添加されています。これらの成分の定性には精密質量情報から化合物の同定が可能なLC/FT-MSでの評価が有効です。図3に示すとおり、①~⑥に添加剤成分が検出され、同時に取得した各ピークの質量スペクトルから、2種の光安定剤、3種の酸化防止剤、滑剤成分が含まれていることがわかりました。

以上の分析結果〔表1〕より、分析サンプルのナイロン製品はナイロン6および、ナイロン6,6が混合された材料であり、耐候性を付与する複数の添加剤が含有されていることがわかりました。

図3 LC/FT-MS トータルイオンクロマトグラム
表1 測定結果のまとめ​

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