有機ELディスプレイの断面構成がわかります
有機EL素子は、ガラスなどの基板、無機の陽極,陰極、および複数の有機層から成る複合材料です〔図1〕。素子の発光特性(輝度,発光効率,発光色など)を制御するためには、各層の膜厚や平滑性などを正確に把握する必要があります。これらを評価するためには、素子の断面をTEM観察することが有効です。また、有機層の相溶状態を評価することも可能です。
例として示した有機EL素子は、ガラス基板上に陽極(ITO)、有機層(ホール輸送層:CuPc、発光層:NPD、電子輸送層:Alq3)、陰極(Al)が積層された構成です。
また、有機層は酸素や水に弱いため、封止材(ガラス)によって密閉されています。このような材料に対して、大気非暴露での前処理(解体、加工)や観察が可能です。
有機EL素子の断面TEM観察
有機EL素子について、断面のTEM観察を行った結果を図2に示します。3層の有機層の積層構造を、輝度の違いにより識別することができました。また、ダークスポット※部の断面を観察することにより、異常発生層を特定することも可能です。
※ダークスポット…有機層の変質や異物などにより、素子の一部がスポット状に非発光となった部分。
高分子分析の中で、有機無機複合材料である有機EL素子の断面構造をFE-TEMを用いて観察した事例をご紹介しました。
複合材料の観察には、次のような事例もございます。