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リチウムイオン電池正極の導電分布の可視化ができます

EVやハイブリッド車、スマホ、PCなどの蓄電池・電源として使用されるリチウムイオン電池はさらなる高容量化・高出力化が求められています。電池のさらなる高性能化には内部抵抗を低減させることが重要ですが、部材に組んだ時、それぞれの構成材がどのような抵抗分布(導電分布)になっているのかを確認することは、内部抵抗低減のための大きな知見を与えます。今回はAFMから派生したコンダクティブAFM(C-AFM)を用いたリチウムイオン電池正極の導電分布を観察した事例を紹介します。得られた電流像のコントラストを反転させれば、そのまま抵抗分布となります。

リチウムイオン電池正極のAFM/電流同時測定

試料は充電前のコバルト酸リチウム(LCO)系の正極の断面です。形状像からLCOの分散状態が確認できます〔図1〕。印加する電圧を変化させながら、電流像観察を行ったところ、0.1Vと低い電圧では導電助剤のカーボンの導電ネットワークが可視化されています〔図2-1〕。電圧を徐々に上げていくと、LCO粒子の外周部から電流が流れ始め、さらに電圧を上げると、粒子内部にまで電流が流れていく様子が観察できました〔図2-2~2-7〕 。LCO粒子1つを見ても、導電性に分布があることが確認できます。また、LCO粒子の外周部の一部が内部より低抵抗な理由は、LCO粒子外周部には、オキシ水酸化コバルト(あるいはその類似物)が形成しているためと推察しています。

図1 形状像(15μm□スキャン)
図2-1 電流像(0.1V印加)
図2-2 電流像(1.5V印加)
図2-3 電流像(2.0V印加)
図2-4 電流像(2.5V印加)
図2-5 電流像(3.0V印加)
図2-6 電流像(4.0V印加)
図2-7 電流像(6.0V印加)

その他の応用

  • 抵抗異常などの故障解析
  • 有機EL,太陽電池などのデバイスの特性解析

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