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多層フィルムの層構成や微細構造を確認できます

多層フィルムは、バリア性や強度の向上などを目的として、フィルムに無機層を成膜したり、無機粒子などを添加しており、これらを正確に把握することは機能を理解するうえで重要です。このようなナノメートルオーダーの構造や元素情報は電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)を用いることで調べることができます。

多層フィルムの微細構造観察

印刷された包装用多層フィルムについて樹脂包埋を行った後、断面を作製し、光学顕微鏡観察を行った結果を図1 aに示します。多層フィルムは4層構成であることが確認されました。さらに、この断面から集束イオンビーム装置(FIB)を用いて図1 a内の赤枠箇所の薄片を採取し、層B、CをFE-TEMで拡大観察した像を図1 bに示します。層Bは厚さ4μmの有機層が観察され、表面側には数10nm~数100nmの粒子の存在が確認されました。一方、層Cは厚さ約40nmの無機層であることがわかりました。また、これらを拡大観察し、さらにEDX装置による元素マッピングを行った結果をそれぞれ図2、図3に示します。粒子は主にO,Al,Tiで構成されていること、層CはAl層であり、Al層の上下には約5nmのAlの酸化層が存在することが確認されました。さらに層Bは印刷(インク)層、層Cはバリア層であると考えられ、これらが樹脂基材に挟まれた構成であると推定されます。

このようにFE-TEM-EDX装置を用いることでナノメートルオーダーの微細な構造を明瞭に観察し、元素分析および元素の分布状態を可視化することが可能です。

図1 多層フィルムの断面像
a:光学顕微鏡像、b:FE-TEM像
図2 層B内の粒子の断面元素マッピング
図3 層Cの断面元素マッピング

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