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延伸下での表面形状変化がわかります

高分子材料はフィルム加工時に延伸を行うことで機械特性や光学特性を獲得します。その際、延伸によって生じた配向性や応力は製品特性に影響を与えますが、フィルム表面の形状も製品特性に影響します(摩擦、濡れ、密着性、散乱など)。
従って、延伸時の表面形状変化を評価することは製品開発にとって重要となります。
今回はオレフィン系ポリマーフィルムを延伸しながら材料に生じた表面形状の変化を原子間力顕微鏡(AFM )にて評価した事例を紹介します。

オレフィン系ポリマーの延伸時の表面形状変化

延伸下でのAFM測定を実施するため、延伸機を装置内に設置しました。オレフィン系ポリマー表面は、初期(未延伸:図1a)では、山脈状の凹凸が観察され、鱗片状の付着物(ワックス成分と推測)が点在していることがわかりました。約1.1倍延伸(図1b)では、上記山脈状の凹凸以外に延伸方向に垂直な亀裂が複数発生していく様子が確認できました。さらに延伸したところ、亀裂がさらに広がり、約1.4倍延伸(図1c)では、裂け目から繊維状の形態(フィブリル化)が露出してくることがわかりました。約2倍まで、延伸を進めたところ(図1d)、繊維状の形態が延伸方向にさらに引き延ばせれている様子が確認されました。
本試料の機能は、密着性と防湿性であることから、延伸より表面のワックス成分(推定)がひび割れ、比較的柔軟なオレフィンが表面に露出して、被着体の凹凸に密着して、防湿性を保持していると考えられました。
以上のことから、本手法を用いることで延伸下での微細な形状をその場観察することができ、フィルム表面の機械特性や光学特性との相関性を調べることができます。

図1 延伸下のAFM像
図1 延伸下のAFM像

その他の応用

  • 延伸下での弾性率マッピング
  • 相分離構造を有するポリマーの機械特性変化の可視化

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