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湿熱環境下での接着剤の機械的特性変化を局所的に評価できます

高温・高湿度の過酷な環境下では、接着剤の機械的特性が大きく変化し、製品の信頼性に深刻な影響をおよぼす可能性があります。当社では、こうした実使用環境を模擬した加湿熱環境下における接着剤の物性をナノインデンターにて評価する技術を確立しました。これにより従来は困難とされていた高温・高湿環境下での微細な硬さや弾性率の変化を定量的に把握することが可能となり、材料選定や品質管理においてより実用的な判断の精度向上が期待できます。

今回は高温・高湿環境下で接着剤の機械的特性がどのように変化するかをナノインデンターで評価した事例を紹介します。

接着剤の高温・高湿環境における機械的特性変化

一般的な接着剤(酢酸ビニル系)と耐水性接着剤(エポキシ系)を対象に、常温常湿(25℃45%RH)、25℃75%RH、45℃45%RH、45℃75%RHの4条件で機械的特性(硬さ)を評価しました。その結果、高温・高湿環境においては、耐水性接着剤の方が一般的な接着剤に比べて硬さの低下が小さく、環境変化に対する安定性が高いことが確認されました〔図1〕。耐水性接着剤(エポキシ系)が加湿環境下でも物性変化しにくい理由としては、エポキシ樹脂が三次元網目構造を形成し、熱膨張や水分の侵入を抑制していることなどが考えられます。

これらの結果から、温度や湿度の環境要因が接着剤の機械的特性に与える影響は、接着剤の種類によって大きく異なることが明らかになりました。そのため、実使用環境を想定した物性評価を行うことが、適切な材料選定や不具合対策の迅速化に直結すると考えられます。特に、ナノインデンターを用いた加湿熱環境下での物性試験は、微小領域での機械的特性変化を高精度に捉えることが可能であり、接着界面や表断面などの局所的な機械的特性を定量的に評価する上で有効です。

図1 一般的な接着剤および耐水性接着剤について、常温常湿(25℃45%RH)の硬さを基準(100)にした時の相対値(一般的な接着剤:3.5MPa、耐水性接着剤:320MPa)
図2 本装置で測定可能な温湿度範囲

※ 上記以外の温湿度条件についても、内容に応じて対応可能ですので、お気軽にご相談ください。また、温度制御だけであれば600℃までの加熱および-120℃までの冷却での測定が可能です。

その他の応用

  • 加熱および加湿環境といった実際の使用環境を再現した機械的特性試験
  • 樹脂材料の劣化耐久試験の再現測定
  • 材料の吸湿性評価

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