金属材料表面の水酸化物の分布を見える化できます
金属材料は、大気中の酸素・水分・二酸化炭素などの影響を受けて、表面腐食が徐々に進みます。そのため、大気による影響を極力排除した状態で金属表面を評価することが重要です。当社では、グローブボックスを用いた大気非暴露下でのサンプリングと独自に開発した化学修飾法を組み合わせることで、金属表面を大気に曝すことなく解析する手法を確立しています。この手法により、金属水酸化物の生成状態や表面酸化の進行度を、外気の影響を殆ど受けずに評価できます。また、サンプルを使用環境からそのまま封入し、グローブボックス内で開封・分析準備を行うため、測定までの移動中に起こる表面変化を最小限に抑制できます。
大気非暴露での金属保管品の表面分析(FE-AES)
一例として、大気非暴露環境と大気中で保管した金属表面をFE-AES(オージェ電子分光法)で比較分析しました。分析の際には、化学修飾法を用いて金属水酸化物に標識元素を含む成分を誘導体化し、標識元素の分布を検出することで水酸化物の存在領域を可視化しました〔図1〕。その結果、大気非暴露で保管した金属では、水酸化物に由来する元素のシグナル(緑色の箇所)が少なく、金属表面の劣化進行を抑制していることが示唆されました。

この評価例のように、大気との接触で腐食が懸念される電池材料などの劣化メカニズム解明や信頼性向上のために、グローブボックス内でのサンプリングと金属水酸化物の誘導体化処理を組み合わせることにより、大気の影響を排除した状態で金属水酸化物の分布を調査することが有効です。
その他の応用
- 電極材料/集電体の酸化状態の評価
- 固体電解質の表面反応層の解析