選択的化学分解でエポキシ樹脂硬化物の詳細な組成を調べます
エポキシ樹脂硬化物の選択的化学分解
エポキシ樹脂硬化物は、優れた機械的強度、接着性、耐薬品性、電気絶縁性などを有することから、幅広い用途で利用されています。主剤(エポキシ)と硬化剤(アミン、酸無水物、フェノールなど)が反応して三次元網目構造を形成するため、硬化物は溶剤に不溶となります。そのため、硬化物の組成分析に適用できる方法は、FT-IR法や熱分解GC/MS法などに限られます。熱分解GC/MS法は必要試料量も少なく有用な手法ですが、生成する熱分解物が多岐にわたるため、硬化物の構成成分を特定することが困難な場合が多いです〔図1〕。そこで当社では、エポキシ樹脂硬化物中の特定の結合を選択的に切断することで分解生成物を限定し、硬化物の詳細な組成を明らかにする分析手法(エポキシ分解法)を開発しました〔図2〕。


エポキシ分解法の実施例(LC/MS)
フェノールノボラック型エポキシとジアミノジフェニルスルホンからなるエポキシ樹脂硬化物について、選択的化学分解を実施し、得られた分解液をLC/MSにより測定しました〔図3〕。その結果、ジアミノジフェニルスルホン骨格を保持したアミン由来成分(ピーク1~3)およびフェノールノボラック由来成分(ピーク4~7)が検出されました。これらは、C-O結合および一部のC-N結合の切断によって生成した分解物と考えられました。以上より、従来の熱分解GC/MS法では構成成分の特定が困難なエポキシ樹脂硬化物について、より詳細な組成情報を得られることが示されました。
